『ビジネス書大バカ事典』の読書メモ。
要するに
巷にあふれる「もどき本 (成功本・自己啓発本)」は読んでも得しませんよ。という話。ビジネス書コーナーに行けばいやでも眼に入る、本田直之、勝間和代や苫米地英人らの著書を、歯に衣着せぬ文体でこき下ろしています。例えばこんな感じ…。
多数の熱狂的なトマベチアンがいるのかもしれない。先生の毒気にあてられて向こう側にいっちゃった連中か。悪いことはいわん、早くこっち側に戻ってきなさい。君たちの親は泣いておるぞ。
「もどき本」の見分け方
「もどき本」を見分けるには、タイトルを見るのが手っ取り早いです。
タイトルにこのような言葉が使われている本は即注意。「成功」「法則」「ルール」「ステップ」「習慣」「方程式」「運」「秘訣」「魔法」「引き寄せ」「夢を叶える」「10 倍アップ」「(具体的な数字) 5000 万円」「何秒」……。
最近はタイトルで釣るのが一般的のようで、自己啓発本コーナーには上記のような単語がわんさと溢れています。しかし、「成功に法則はない、成功は努力の結果」なんですね。コツコツと努力すれば、成功するかもしれないし、しないかもしれない。それが現実。著者のとても現実的な意見には同意できます。
現実から学べ
半分以上のページを辛口評論が占めていますが、ぜひ読んでほしいのが後半の著者の主張。前半はつかみのネタでしかありません。著者は「もどき本」ではなく、本田宗一郎や松下幸之助など、経営者の自伝を読むことを勧めています。「もどき本」の胡散臭いテクニックよりも、経営者の自伝からその「生き様」を学んでほしいと言います。
人によって受け取り方はさまざまだろうが、本田宗一郎や稲盛和夫や小倉昌男の自伝を読むと、わたしの「なんでもやる」も、仕事量の限界値もまったくチャチなものだったと思わざるを得ないのである。ビジネス書はともかくとしても、少なくともそういう叩き上げの経営者が書いた自伝は読んでおけばよかった、と今なら思う。経営者でなくても、かれらの考えや姿勢は学べたはずだからである。
そして、
われわれは現在の仕事をがんばればいいのである。どうすればもっと仕事ができるのか、どうすればもっと業績があがるのか、そのなかで自分はどう成長していくのか、そのことだけを考えればいい。「成功」がその後からついてくればきたでよし、ついてこなくても、そんなものはほっとけばいいのである。まあ、ついてこないだろうけど、もし参考にするのならまともなビジネス書を選ぶことね。地道が一番。間違っても「もどき本」には手を出さないように。まあ、出してもいいけど。
と、まとめています。
目次
- なんでビジネス書を読むの?
- 恐るべき三人のつわもの
- 三冊の元祖本と成功法則
- 本を読んで金が儲かるってホント?
- 不当表示?誇大広告?めくるめく書籍タイトルの世界
- 胡散臭い二人の導師
- その場しのぎの一姫二太郎
- 「成功」することと人生
- 読むなら、経営者の自伝
- 仕事とは全人的作業である