『サイコバブル社会』の読書メモ。
要するに
「Dr 林のこころと脳の相談室」で有名な、林公一 (はやし・きみかず) が書いた本。うつ病、アスペルガー障害、アルコール依存症、PTSD といった心の病を解説し「正しい認識」を求めています。しかし、本文の中でコロコロと意見が変わります、意見が変わるというか「A という見解もあれば、B という見解もある」という風に、著者はあくまでニュートラルで多面的に捉えています (そのせいで文章が若干読みづらい)。
心の病の症例を紹介した後、最後に "サイコバブル" とは何かを説明しています。バブルは BABBLE (バブバブ = 半知) と BUBBLE (ふくれてはじけるバブル) に引っ掛けています。
いい加減で不正確な言葉で、心の病が語られるようになったことで、何が本当の心の病かがわからなくなって、病でない物との境界が曖昧になり、心の病と呼ばれるものがどんどん膨張してきた。(略) このままでは、本当に医療が必要な人々に、医療が届かなくなる。それを危惧して私は、本書を著した。
著者の主張はここに集約されています。「プチうつ」のような BABBLE が流行することで、うつ病が明るい病気になる反面、本当に辛いうつの人の存在がぼやけてしまっているのが現状です。医療機関は一ヶ月待ちが当たり前だと聞きます。
僕は少しだけメンタルヘルスの勉強をしましたが (この本もそうですね)、そこで得た生半可な知識というのがまたバブルを加速させるのかもしれません。しかし、ストレス社会に身を置く者としては、ストレスへの対処法や心の病に関しては勉強しておいたほうがいいと思っています。