「論理戦」に勝つ技術―ビジネス「護心術」のすすめ

『「論理戦」に勝つ技術―ビジネス「護心術」のすすめ』を読んだ。結論から言うと、その技術とは「問い」のことである。自分の主張を質問形式にすることにより、議論を有利に進めることができる。

「問い」が強力な理由は以下の 2 点。

  1. 相手に回答を強要できる
  2. 問いを自分で作ることができる

前者は「問い」そのものが持つ力で「ここをどこだと思っているんだ?」や「私はなにか間違ったことを言いましたか?」などのように、主張を疑問文に変えることで、言質を取ることができる。

「問いを自分で作ることができる」は、狡猾な技術で、虚偽ともいう。これは有名な例文らしいが、「君は、もう奥さんを殴ってはいないのか?」が虚偽にあたる。前提を操作しており、「はい」でも「いいえ」でも「奥さんを殴った」ことを認めてしまう。

護心術

で、そんなに相手を打ち負かす技術を学んでもしょうがないということで、タイトルに「護心術」とあるように、それらの「問い」から身を守る方法も書かれている。護心術、それは相手の「問い」に対して answer (答える) のではなく、retort (言い返す) こと。

先の虚偽を retort するなら「君は、もう奥さんを殴ってはいないのか?」に対し「私が奥さんを殴っていたことを証明してください」と返せばよい。相手の立証責任を問うのである。

そういえば、『ジョジョの奇妙な冒険』の台詞で「質問を質問で返すなあーっ!!」というのを思い出したが、大人になると、質問を質問で返さなければならぬときもあるのだ。